悩める医師「医局を辞めようと思っているんだけど、どうやって辞めればいいの?」
こんな悩める医師の皆様に向けた記事です。
医局の辞め方の徹底まとめを紹介します。
私は今、外科の後期研修医をしています。
私には同じく医師の妻がいます。私が一般外科、妻が産婦人科の医者夫婦です。
妻は結婚・出産を機に医局を辞めました。
本サイトでは、結婚・出産を機に妻が医局を辞めた医者夫婦が、医局の辞め方、医師の転職の方法について実体験をベースに情報を発信しています。
妻も私も、妻が医局を辞めて本当に良かったと思っています。
家族の時間が増え、医局時代より収入にも余裕が出ました。
今回は、私達夫婦が医局を辞めるにあたって聞いた先輩方からのお話、そして私達夫婦の実体験から医局の辞め方徹底まとめを紹介します。
この記事が医局を辞めたいと思っている一人でも多くの方のお力になれば幸いです。
医局の辞め方徹底まとめ
医局を辞めるメリット・デメリット
まずは医局を辞めるメリット、デメリットを整理します。
医局を辞めるメリット
・収入が増える可能性が高い。
・自由な時間が増える。
・医局内の人間関係の悩みがなくなる。
・人事での異動がなくなる。
医局を辞めるデメリット
・資格取得が難しくなる。
・研究の機会が減る。
・教育の機会が減る。
・出世の可能性が低くなる。
メリットがデメリットを上回ると感じた場合、医局を辞めることで人生の満足度が上がる可能性が高いです。
具体的には、「お金を多く稼ぎたい人」、「出世に興味がない人」、「趣味や家族との時間を増やしたい人」、「定住したい人」などは医局を辞めるメリットが大きいです。
一方、「出世したい人」、「研究をしたい人」、「教育が好きな人」などは医局を辞めるデメリットの方が大きくなります。
まずは、医局を辞めるメリット・デメリットをしっかりと理解し、自分にとってどちらがより大きいのかを考えてみましょう。
医局を辞める準備
医局を辞めたいと思って、次の日にすぐ辞める、というのは現実的ではありませんし、おすすめしません。
なぜなら、医局は辞め方を間違えると医局を辞めた後の転職などに影響する可能性があるからです。
医局によりますが、医局の力は今でも非常に大きいです。
出来るだけ、円滑に、揉めることなく辞めることが大切です。
医局を辞めたいと思った時にまずするべき下準備について紹介します。
家族と相談する
家族がいる場合は、最初に必ず家族に相談しましょう。
医局を辞める、転職するというのは大きな変化が伴います。
家族の理解、協力は不可欠です。
なぜ医局を辞めようと思っているのか、医局を辞めることで生じる変化・メリット・デメリットについてしっかりと共有しておきましょう。
中には家族が、医局を辞める=医者を辞める・給料が大幅に下がる と誤解してしまっていることもあります。ご家族が医療関係者でない場合は特にしっかりと説明する必要があります。
医局を辞めるというのは大きな決断です。自分の選択に自信が持てなくなったり、周囲から心無い言葉を投げられることもあります。
そんな時、家族が味方でいてくれることが大きな助け・力になります。
注意点として、医局を辞めることを考えていることは必ず口外しないように言っておきましょう。
後で詳しく紹介しますが、医局を辞める時、辞めることを伝える順番というのは非常に大切です。
家族経由で色んな人にばれてしまうと自分の立場を悪くする可能性があります。
なので、相談すると同時に口外しないように必ず忠告しておきましょう。
必要な資格は取っておく
医局に所属しているうちに必要と思う資格は取っておきましょう。
医局を辞めると専門医などの資格が非常に取りにくくなります。資格が取りにくくなることが医局を辞める一番のデメリットだと思います。
個人的には、医局を辞めるのであれば、新専門医制度における専門医は取得する方がおすすめです。
なぜなら、民間の病院やクリニックでは専門医必須としている施設もあり、増加中だからです。
もちろん、専門医なしで医局を辞めるのもありです。しかし、リスクについてはしっかりと理解しておきましょう。
個人的には、医局を辞めたいと思っている人は、専門医を取ってしまえばもう医局に残る理由はほとんどないと思います。
詳しくは、専門医なしで医局を辞める3つのリスク【2つの対策も紹介】で紹介しています。
退局後の進路を決めておく
医局を辞める前に退局後の進路は決めておきましょう。
なぜなら、必ず聞かれるからです。そして、退局後の進路が決まっていない場合は高い確率で引き止められます。
また自身としても次の進路が決まっていない状態で医局を辞めるのはかなり不安です。
引き続き働く予定でしたら、必ず次の職場は決めておきましょう。
職場探しには、①知人の紹介 ②エージェントを利用する の二つのパターンがあります。
ツテがある人は知人からの紹介がいいと思います。しかし、知人といっても信頼できる人に限定しましょう。
具体的には、家族や古くからの友人です。
親がえらい医師で、親親のツテですごく良い職場(親の友人の病院やクリニックなど)を紹介してもらった、という人も私の周りにも確かにいます。
このように信頼できる人のツテは可能な限り使いましょう。
とはいえ、私達夫婦含め、ツテがない人がほとんどだと思います。
ツテがない方はエージェントを利用しましょう。
私達夫婦もエージェントを利用しています。
エージェントに紹介してもらうことができる勤務形態には、スポット、定期非常勤、常勤の3種類があります。
必ずしも常勤である必要はありませんが、個人的には定期非常勤の組み合わせ、もしくは常勤をおすすめします。
エージェントの選び方や利用する際の注意点は、【実体験】医師の転職エージェントの失敗しない選び方【用途別】の記事で詳しく紹介しています。
退局後の進路は、女性医師の方であれば、育児に集中する、家庭に入る、などもあると思います。
とにかく、聞かれた時にすぐ答えられるように仮でも進路は決めておきましょう。
医局を辞める表向きの理由を用意する
医局を円滑に辞めるには、本音と建て前をうまく使いましょう。
医局を辞めることを伝える時、医局や診療科への文句や不満は言うべきではありません。
教授や医局長も人間です。自分たちへの不満や文句を言って辞める人に協力しようという気持ちは起きないものです。
たとえ医局を辞める一番の理由が、「仕事がつらい」、「給料が安い」、「上司がきつい」といったものであっても、絶対に言わないようにしましょう。
表向きの理由は、家族など第三者が原因のもの、体調などどうしようもないこと、そして女性であれば結婚・出産など受け入れられやすいものを用意しましょう。
医局を辞める理由、受け入れられやすい理由については、医局を辞める18の理由【上手な伝え方も紹介】で紹介しています。
医局を辞めるタイミング
医局を辞めると決めた後は、医局を辞めるタイミングを伺いましょう。
医局は辞めるのに適したタイミングというのが存在します。
具体的には、専門医取得後や教授交代のタイミングなどです。
年次で言うと、専門医取得後の5-7年目、学位取得後の7-10年目が最初に来る医局を辞めるチャンスです。
準備をしっかりとして、最適なタイミングで行動に移しましょう。
医局を辞めるタイミングについては、医局を辞める最適な5つのタイミング【実体験】で詳しく紹介しています。
実際の切り出し方と注意点
準備をしっかりとして、タイミングを見計らった後は、実際に医局を辞めることを切り出します。
この時に注意するべきは次の3つの点です。
・切り出す時期
・切り出す相手
・切り出す手段
切り出す時期は早すぎると引き止められる可能性が高いですし、遅すぎると医局側が困ります。
切り出すのは、早くても半年前、遅くても3か月前までには切り出すようにしましょう。
切り出す相手、相手の順番にも注意が必要です。
必ず、教授、部長、医局長といった立場が上の人から話をすることにしましょう。
なぜなら、教授や部長というのはかなり体裁や礼儀を大切にします。
自分のところに話が来ていない、他人から又聞きで話を聞いた、という場合、教授や部長が失礼であると立腹してしまう可能性があります。
近しい同僚などに相談するのはありですが、必ず口外しないように忠告しておきましょう。
切り出す手段ですが、メールでアポを取り、医局を辞める旨は必ず直接伝えるようにしましょう。
なぜなら、メールで全てを伝えるのはあまりに失礼ですし、いきなり口頭で伝えるのは相手にしてもらえない場合があるからです。
医局を辞めることを切り出す際の注意点、実際のメールの例文などは、医局を辞める時の上手な切り出し方と3つの注意点で詳しく紹介しています。
話し合い
医局を辞める旨を切り出すとすんなりと受け入れられることもあれば、教授や医局長との話し合いになることもあります。
この時に大切なのが、「改善を提案された場合に、医局に残る可能性があるのかあらかじめ決めておくこと」です。
医局を辞める意志が絶対なのか、場合によっては医局に残っても良いのか必ず話し合いの前に決めておきましょう。
話し合いの段階で煮え切らない態度をとってしまうと、強引に引き止められたり、考えが浅いことを指摘されたりします。
辞めると心に決めている場合は、絶対に辞めるという意志が固まっていることを強調しましょう。
またこの話し合いの段階でも、絶対に医局や診療科への不満や文句は言わないように気をつけましょう。
円満に辞めることができれば、医局によっては退局後のキャリアをサポートしてくれたり、非常勤という形で好きな仕事だけを続けることができる可能性があります。
医局を辞めた後悔
私達夫婦は、妻が医局を辞め、私は医局に残っています。
私自身が医局に残っているのは、研究や教育が好きという理由です。
興味がなくなったり、デメリットの方が大きいと判断すれば医局を辞めると思います。
妻に聞いても、夫婦としても医局を辞めたことの後悔はありません。
冒頭で紹介したように、研究・教育・出世に興味がない人はつらい思いをして医局に居続ける必要はないなと日々思います。
しかしながら、医局を辞めたことで後悔している人がいるといのも事実として知っておくべきです。
代表的な後悔は、専門医が取れない、知識・技術の維持習得が難しい、といったものです。
医局を辞めるとする代表的な5つの後悔【実体験】の記事で対策も含めて詳しく紹介しています。
また、医局を辞めた後に医局から嫌がらせをされるという心配をしているという声も耳にします。
数十年前は普通にあったそうですが、今はほとんどないようです(未だに一部の大きな医局では嫌がらせをされたという話も聞きました)。
嫌がらせに関しては、医局を辞めるとされる代表的な4つの嫌がらせ【対策も紹介】で対策を含めて詳しく紹介しています。
さいごに
以上、医局の辞め方徹底まとめを紹介しました。
医局を辞めて後悔している人は私はほとんど見たことがありません。
なにより、妻は医局を辞めてから本当に毎日楽しそうにしています。
妻の様に医局を辞めることで幸福度が上がる人は多いのではないかと思っています。
多くの人に聞いた限り、後悔している人は、喧嘩別れをしたり、辞め際に揉めた人でした。
後悔のない人生のためにも、つらいと思う医局に居続ける必要はないと思います。
医局を辞めるデメリットや後悔をしっかりと理解し、対策を取った上で辞めることができれば心配や不安は最小化できます。
この記事が一人でも多くの今を悩む方々のお力になれば本当に嬉しく思います。