医局

医局を辞める18の理由【上手な伝え方も紹介】

 

悩める医師「医局を辞める理由ってみんなどんな感じなんだろう?」

 

 

こんな医師の皆様に向けた記事です。

 

医局を辞める時の代表的な理由を18個、上手な伝え方を紹介します。

 

私は今、外科の後期研修医をしています。

 

私には同じく医師の妻がいます。私が一般外科、妻が産婦人科の医者夫婦です。

 

妻は結婚・出産を機に医局を辞めました。

 

本サイトでは、結婚・出産を機に妻が医局を辞めた医者夫婦が、医局の辞め方、医師の転職の仕方について実体験をベースに情報を発信しています。

 

妻が医局を辞めた表向きのきっかけは「結婚・出産」です。しかし、「結婚・出産」はいわゆる建前で、実際には精神面・体力面・金銭面などもっと生々しい様々な要因があります。

 

医局を辞める理由は人ぞれぞれだと思います。

 

今回は、医局を辞め、転職を経験した私たち夫婦が実際に感じたこと、そしてたくさんの先輩方に伺った話から、医局を辞める実際の理由を18個紹介します。

 

そして最後には、医局を辞める時の上手な伝え方についても紹介します。

 

この記事が一人でも多くのキャリアに悩む医師の皆様のお役に立てば大変嬉しく思います。

医局を辞める18の理由

結婚

 

「結婚を機に医局を辞めます」

 

これは、主に女性医師に当てはまる医局を辞める理由になります。

 

実際には、結婚だけでなく、夫の仕事の都合、子供の存在などが複合的な理由になることが多いです。

 

結婚を機に医局を辞めるというのは、「自分だけの問題ではなく、パートナーや子供など家族の都合があるので」という第三者が原因であるニュアンスが含まれます。

 

なので、引き止められたり、理由を深堀されることなく、すんなりと辞めることができる可能性が高いです。

 

「医局にいるのがつらくて辞めたいから結婚相手を探す」と言っている友人も実際にいる程です。

 

結婚は主に女性医師にとって医局を辞める代表的な理由の1つです。

出産

 

出産を理由を医局を辞めるパターンです。

 

出産を理由を医局を辞めるのは、妊娠中から出産の機に医局を離れることを前もって伝えているパターン、出産に伴う産休・育休でそのまま仕事に復帰せずフェイドアウトするパターンがあります。

 

どちらのパターンも周囲や上司からの理解度は高いです。

 

今のご時世、「育児よりも仕事を優先しろ」、「仕事しながら育児できるはずだ」といったニュアンスの発言は大きな問題になります。

 

よって医局側も深くは追及してこないことが多いです。

 

産休・育休のままフェイドアウトするパターンも「実際に子供が生まれてみて、仕事との両立が難しい」という旨をしっかりと伝えれば、すんなりと理解してもらえることが多い印象です。

 

出産を理由に医局を辞めるのは女性医師にとって代表的な理由の1つです。

育児

 

育児を理由に医局を辞めるパターンです。

 

「子供のために引っ越したい」、「子供の学校が離れていて今の職場に通うのが難しい」、「子供の傍にもっと居たい」、といった理由です。

 

「子供が不登校になった」といった理由で医局を離れた上司の方がいました。

 

実際に子供の都合を優先して医局を辞める人は比較的多い印象です。

 

第三者の都合であるため、医局としてもどうしようない場合が多く、比較的すんなりと受け入れられている印象です。

開業

 

開業するために医局を辞めるパターンです。

 

医局を辞めるという点では強く引き止められることは少ない印象です。

 

開業は医局と提携し、その後も継続的に一緒に仕事をしていく可能性があります。

 

いかに円満に、医局とwin-winの形で辞めることができるかが今後の開業の成功に大きく関わります。

 

伝えるタイミングや伝え方には注意が必要です。

親の医院を継ぐ

 

親の医院を継ぐために医局を辞めるパターンです。

 

実家が医院であり、将来的には継ぐことを既に医局側が把握していることが多く、親の医院を継ぐ場合は基本的に医局から強く引き止められることは少ないです。

 

医院の業務内容によっては、引き続き医局との繋がりがあった方がメリットがある場合もあるので、伝え方、辞め方には注意が必要です。

引き抜き・栄転

 

他院へ引き抜かれる・栄転を理由に医局を辞めるパターンです。

 

引き止められることはほとんどないと思います。

 

なぜなら、既に話がまとまっていたり、当人の決心が強いことがほとんどだからです。

 

しかし、医局側としては優秀な人材がいなくなってしまうため痛手になります。

 

場合によっては、喧嘩別れのようになってしまうこともあります。

 

穏便に辞めるためにも、医局側のメリットを提示する、引き続き医局にも貢献する、感謝をしっかりと伝える、といった配慮が必要になります。

やりたいことができる職場へ移動する(キャリアアップ)

 

自分がやりたいこと・興味があることをやるために医局を辞めるパターンです。

 

大切なのは、自分の熱意を伝えることです。

 

やりたいことに対する自分の熱意が伝われば、希望が通ることが多いです。

 

「この医局では物足りない」といった医局に対してのマイナスなイメージをいかに相手に抱かせないかが重要になります。

 

「うちでももっとやらせてあげる」、「期限付きで行っておいで」など引き止められたり、条件を出されることが多いです。

 

医局側が提示する条件が自分にもメリットが大きい場合もあるので慎重に考える必要があります。

転科

 

転科を理由に医局を辞めるパターンです。

 

なぜ転科するのか理由を聞かれたり、引き止められることが比較的多いです。

 

理由を述べる時には注意が必要です。

 

なぜなら、転科することは今の医局の診療科に不満があったり、その診療科を侮辱していると思われることがあるからです。

 

ポイントは決して今の診療科を悪くいったり、不満点を述べたりしないことです。

 

外科系であれば、「腰が悪くて立っていることがつらい」など、必ず自分側の問題として理由を述べるようにしましょう。

 

この理由は建前で構いません。

 

あくまで自分側の問題で転科を考えていることを強調しましょう。

もっと稼ぎたい

 

もっと稼ぎたいという理由で医局を辞めるパターンです。

 

大学病院や大きな総合病院は往々にして給料が低い傾向にあります。

 

大学の医局に所属すると、生涯年収が一億円下がる、とも言われています(医局に入ったら生涯年収が下がるものと覚悟せよ 日経メディカル)。

 

大学病院の給料が低いのは、医者の数が多い、教育・研究は収益にならない、などといった理由が挙げられています(大学病院の勤務医の給料はなぜ安いのか 日経メディカル)。

 

大学という性質上、仕方がない部分が大きいです。

 

実際には時給1500円など明らかに労働に給料が見合っていない場合もあります。

 

もっと稼ぎたい、家族のためにもっとお金が必要、といった場合に医局を辞めて給料が高い職場に移動するというのはよくある話です。

 

金銭面を理由に医局を辞めるのは、個人の事情や背景によって受け入れられやすさが変わります。

 

個人的にもっと稼ぎたいという理由であれば引き止められることになる可能性が高いです。

 

子供など家族のために、という理由であれば引き止められる可能性は低くなります。

 

金銭的な理由で医局を辞める場合も、自分の背景、事情をうまく伝えることが大切です。

医局人事の派遣先が受け入れられない

 

医局人事に納得がいかず医局を辞めるパターンです。

 

医局に所属していると、短い場合は数か月毎に職場の移動を命じられることがあります。

 

中には、遠く離れた場所への赴任を命じられることも少なくありません。

 

人事の派遣先に納得がいかず、医局を辞める人は少なくありません。

 

この場合も、個人的に嫌なのか、家族などの事情があるのか、など背景によって受け入れられやすさが変わります。

健康面の問題

 

健康面の理由で医局を辞めるパターンです。

 

持病の治療に専念する、などの理由が該当します。

 

外科であれば、腰が悪いこと、目が悪いことなどを原因に退局する人が多いです。

 

理由にもよりますが、基本的にはすんなりと退局を受け入れてもらえることが多いです。

 

しかし、体に負担がかかる業務からは外すので教育や研究のために残って欲しいといった引き止めが発生する可能性もあります。

精神的な理由

 

精神的な理由で医局を辞めるパターンです。

 

精神的に病んでしまった、などが該当します。

 

このパターンは、しっかりと計画して医局を辞める、というよりも、我慢に我慢を重ねてある日突然仕事に来なくなる、というパターンが多いです。

 

受け入れられる、受け入れられないの問題にはならないことも多い印象です。

 

個人的には限界が来る前に他の理由を建前にして計画的に医局を辞めることをおすすめします。

留学する

 

留学をきっかけに医局を辞めるパターンです。

 

これには、留学に行くために医局を辞める、留学に行ったことをきっかけに医局を辞める2つのパターンがあります。

 

留学に行くために医局を辞める場合、辞めずに留学に行くよう引き止められる可能性があります。

 

しかし、自分の熱意がしっかりと伝われば、いずれにしろもめることは少ないです。

 

一方、留学に行ったことをきっかけに医局を辞めるケースはもめることもあります。

 

なぜなら、留学に行かせてもらった恩が医局にあるからです。

 

留学先からオファーを受けて残るために医局を辞めた人を数人見たことがありますが、円満、という形ではないことがほとんどでした。

 

いずれにしろ、伝え方には注意する必要があります。

医者以外の職業への転職

 

医者以外の職業への転職のために医局を辞めるパターンです。

 

コンサルタント、保健関係、厚生労働省などへの転職が該当します。

 

数は多くないですが、最近増えている印象です。

 

医療職ではない分、引き止められる可能性は低いです。

 

しかし、理由を追求される可能性は高いです。

 

自分の熱意をしっかりと伝えられるように準備しておくことが大切です。

起業する

 

起業をきっかけに医局を辞めるパターンです。

 

今まではほとんどいなかったですが、ここ数年ちらほら話を聞くようになりました。

 

医局という組織で生きてきた方々にはあまり理解されない可能性があります。

 

理解はされなくとも、得体の知れないものとしてすんなりと医局を辞めること自体は受け入れられると思います。

教授が変わった

 

教授が変わるタイミングで医局を辞めるパターンです。

 

教授が変わったタイミングで大幅な人事の変更があり、医局を辞める人が発生するケースです。

 

教授の変わり目ということもあり、引き止められる可能性はほとんどありません。

 

医局を辞めるタイミングを伺っている人にとっては絶好のタイミングかもしれません。

上司ついていく

 

上司についていくために医局を辞めるパターンです。

 

信頼していた上司が別の施設の部長になる、別の施設で教授になる、といった時に一緒に医局を辞めるパターンです。

 

引き止められる可能性は低いです。

 

しかし、状況によっては、今までいた医局との関係が悪くなってしまう可能性があります。

親の介護

 

親の介護をきっかけに医局を辞めるパターンです。

 

すんなりと受け入れられる可能性が高いです。

 

実際に私の上司も親の介護に時間とお金が必要という理由で医局を辞めました。

 

全くこじれることなく、円満な退局でした。

医局を辞める時の上手な伝え方

 

医局を辞める時の上手な伝え方のポイントは、「本音と建て前を使い分ける」ことです。

 

なぜなら、医局を辞める理由は基本的には1つではなく、複数の要因があるはずだからです。

 

例えば、私の妻が医局を辞めた表向きの理由、つまり建前は結婚・出産です。

 

しかしながら、「労働量が多すぎる」、「給料が安すぎる(月給20万以下)」、「研究に興味がない」なども要因としてないわけではありません。

 

ここで、医局を辞める時に、「給料が安すぎるので辞めます」と本音で話していたら、恐らく医局を辞めることができない、もしくは医局を辞めることができてもかなり後味の悪い結果になっていたと思います。

 

つまり、表向きは自分の医局を辞める理由の中で受け入れられやすいものを伝えましょう。

 

一番受け入れられやすいのは、「妻・夫」、「子供」、「親」など、第三者が理由になっているものです。

 

自分を理由にするのであれば、「健康面の問題」など受け入れられやすいものを建前として用意しましょう。

本音と建て前をしっかり使い分ける

 

もう一つ、注意するべきポイントがあります。

 

それは、決して嘘をつかないことです。

 

医者は狭い世界です。嘘をつくといつか必ずばれます。

 

嘘の病気などは絶対に医局を辞める理由にしないようにしましょう。

 

しかし、「ぎりぎり嘘じゃない話」は受け入れられやすくなるのであれば積極的につかいましょう。

 

例えば、かなり遠くの施設への赴任が決まった時。たとえ自分自身が絶対に嫌な場合でも、「子供の転校がかわいそう」、「親の老後の問題で遠くへはいけない」、などを建前にするというイメージです。

 

0から作り上げた嘘でなければ、個人的には問題ないと思います。

0から作り上げた嘘はつかない

 

医局を辞めることを伝えるタイミングや伝える際の注意点を医局を辞める時の上手な切り出し方と3つの注意点で詳しく紹介しています。

 

さいごに

 

以上、医局を辞める代表的な18の理由を紹介しました。

 

本サイトでは、妻が医局を辞めた医者夫婦が、医局の辞め方、転職・アルバイトについての経験を発信しています。

 

この記事が一人でも多くの今を悩む皆様のお役に立てば幸いです。