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医者3年目は忙しい、つらい。3つの理由と2つの対策【実体験】

 

3年目の医者「医者3年目がつらすぎる・・・。なんでこんなにつらいんだろう。どうしたらいいんだろう。。。」

 

こんな3年目の先生方に向けた記事です。

 

医者3年目は一番忙しくてつらい時期です。その3つの理由と実際に私が取った2つの対策をご紹介します。

 

研修医が終わり、自分の進む道がある程度決まっているのが医者3年目。

 

医師、特に初期研修医の働き方改革が進む今、「医師の本番は3年目から」と言われることも少なくありません。

 

実際、m3.comの若手医師の燃え尽き症候群に関する記事においても、医者3年目以降、途端に燃え尽き症候群のような症状を経験したと答える医者の数が増えています。

 

昔は初期研修医こそが地獄だった、上級医の先生方は口をそろえてそう言います。

 

しかし、今の時代、本当の地獄の始まりは初期研修医が終わり、医者3年目になってからです。

 

今回は医者3年目に何度も医者をやめようと思った私が、医者3年目がつらい3つの理由、それでも私が医者3年目を乗り越えることができた2つの対策をご紹介します。

 

少し自己紹介をさせて下さい。

 

私は今、外科の後期研修医をしています。

 

学生時代は典型的な部活生、初期研修は比較的忙しいと言われる病院で過ごしました。

 

外科を志望した理由は、「部活の先輩に多かったから」です。

 

要は、大きな志などなく志望科を決めました。

 

覚悟はしていましたが、医者3年目から本格的に外科の研修が始まり、本当につらい日々でした。

 

知識がない、手技ができない、周囲とのコミュニケーションがうまくいかない。

 

こんな日々の繰り返しで辞めたいと思ったことも何度かありました。

 

私は少なからず外科医への憧れもあり、なんとか外科専攻医自体は続けることができました。

 

正直、医者3年目で自分が選んだ診療科に疑問を持つ場合は早めに転科など行動に移すべきだと思います。

 

診療科は医師としての年次が進めば進むほど変えにくくなります。

 

実際に医者3年目に感じた違和感は見ないふりをすると後々大きく後悔することになります。

 

今回は何度も医者をやめたいと思った私が考察した医者3年目がつらい3つの理由をご紹介します。

 

さらに医者3年目を辞めずに無事終えることができた私の具体的な2つの対策をご紹介します。

 

この記事がつらい今を過ごす、一人でも多くの先生方のお力になれば幸いです。

 

医者3年目は忙しい、つらい、その3つの理由

 

一番下っ端だが責任がある

 

医者3年目は実質一番下っ端です。しかし、同時にかなりの責任があります。

 

今の時代、初期研修医はかなり守られています。

 

初期研修医の働き方改革は半ば強引な形で進み、病院によっては必ず5時に帰宅、時間外労働は基本的になしといった施設も少なくありません(新専門医制度で「下っ端」から「お客様」になった研修医の絶望 幻冬舎Gold Online)。

 

しかしながら、病院全体としての仕事量が著しく減ることはありません。初期研修医が今まで担っていた仕事は誰かがやらなければいけません。

 

そのしわ寄せがきているのが、後期研修医、もっと言えば医者3年目です。

 

医者3年目は今まで初期研修医が担っていたような仕事、はっきり言うと雑用を一手に引き受けることになりました。

 

夜の呼び出し、オンコール、書類作成など、多くが3年目の医師に襲い掛かります。

 

私も初期研修医が5時に帰るため長い手術は必ず途中で研修医と交代する、初期研修医が帰った後カルテを一人で書く、夜のコールは基本全て後期研修医、など明らかに後期研修医に負担がかかっていると思うことがありました。

 

さらに3年目の医者は責任も伴います。

 

これまで二年間の初期研修では全く責任を負うことはありませんでした。しかし、たった一年後の3年目からは病棟における責任者のような立場になります。

 

初期研修医の指導も後期研修医が担うことになり、初期研修医のミスは後期研修医の管理責任となることも多いです。

 

働き方改革で守られていた初期研修医が、その二年間が終わった途端、責任ある仕事を一手に引き受けることになります。

 

このように医者3年目は一番下っ端としての雑用をこなしながら、さらに責任があるという肉体的にも精神的にもきつい立場です。

 

常に板挟み状態になる

 

医者3年目はいわゆる中間管理職の始まりです。常に板挟み状態にいます。

 

3年目の医師の上には通常、複数人の上級医・指導医がいます。

 

この上級医たちで医療に対する考え方が違うことが往々にしてあります。

 

「A先生にはこのように習ったけど、B先生の前でA先生にならった方法でやったら激怒された」

 

なんて事、皆さま一度は経験があるのではないでしょうか。

 

私の場合だと、上級医A先生に必ず連続縫合で筋膜を閉じるよう習ったが、B先生の前で連続縫合をすると、必ず単結紮でやれと怒られる、など、外科は手技の好み・こだわりが先生によって大きく異なります。

 

また、患者さんの方針についても上級医A先生と上級医B先生の間で意見が分かれ、結局方針が曖昧になる。どちらかのやり方に従うともう一方の上級医に角が立つ。こんな経験もあるのではないでしょうか。

 

この板挟み状態は上級医との間だけでなく、看護師と上級医の間、研修医と上級医の間など様々な場面で生じます。

 

往々にして自分自身には決定権がなかったり、どうしようもない場面が多いです。

 

このように、医者3年目は自分の決定権がない場面で板挟み状態になりストレスを感じることが非常に多いです。

 

現実と理想のギャップ

 

医者3年目は現実と理想のギャップに苦しみます。

 

個人的にはこれが一番大きなストレスだと思います。

 

初期研修医のころ、3年目の先生はじめ後期研修医の先生方は、聞けば何でもわかるし手技もそつなくこなす、上級医に頼りにされているスーパーマンのように見えていました。

 

しかし、実際に自分が3年目になると初期研修医のころ思い描いていた先輩たちのイメージとは全く異なることに気が付きます。

 

手技もできないことが多く、知識や自分の判断が正しいのか不安。3年目になった自分が意外と頼りないことに気が付きます。

 

私の場合、3年目になると手術はどんどんやらせてもらえて、成長の毎日だと思っていました。しかし、実際にはすべての手術をメインでやらせてもらえるわけは全くなく、やらせてもらえる手術も上級医の先生の指示通りにしかできないのが現実でした。

 

自分が憧れていたスーパーマンのような3年目ではなく、これまでと同じように悩みながら日々過ごしている自分に気が付きます。

 

このように、医者3年目は、自分の能力、そして周囲の環境が自分の理想と大きく違っており、そのギャップに悩まされます。

 

医者3年目がつらい、私がした2つの対策

 

以上、医者3年目はつらいと思う3つの理由をご紹介しました。

 

私は医者3年目がつらくて何度もやめたい思いました。

 

しかし、私はそれでも続けて無事に3年目を乗り越えることができました。

 

私が続けるために実際にしてとても効果があったと感じる2つの対策を深堀していきます。

 

自分に期待しすぎない

 

まず大切なことは自分に期待しすぎないことです。

 

なぜなら、医者3年目は初期研修医と1年しか違わず、まだまだ駆け出しだからです。

 

「医師3年目になれば一人前の仲間入りでバリバリ仕事をこなしているはず」

 

私はこのような思いを抱いていました。

 

これは幻想です。実際、自分たちが初期研修医のころ憧れた後期研修医の先生方に相談をしたところ、日々今の自分に悩みながら過ごしていたと言っていました。

 

医者3年目は医師の超基本の業務を効率よくこなせるようになっただけです。

 

例えば、発熱した患者さんへの対応、電解質異常への対応、など病棟の非常に基本的な業務をこなせるようになっただけです。

 

手術や手技も特別多くやらせてもらえるわけではありません。自分に与えられた1回1回の機会を大切にしましょう。

 

日々、自分が少しだけ成長することだけを考えて淡々と過ごしましょう。

 

きっと数か月たったころには見違えるほど成長している自分がいるはずです。

 

過度な期待をせず、与えられた環境の中で一歩ずつ成長していきましょう。

 

いつでも辞められる準備をしておく

 

これが最も大切なことです。

 

いつでも辞められる準備をしておきましょう。

 

具体的にはエージェントに相談してみましょう。

 

誤解が多いところですが、エージェントに他の職場を探してもらったからと言って、必ずそこへ転職する必要はありません。

 

良い案件が見つかり次第随時紹介してもらうことができます。実際にすぐに転職する必要は全くありません。

 

これからの時代、医者も自分の状況に合わせて一つの職場にこだわらず、柔軟に転職していく時代です。

 

エージェントとうまくコミュニケーションを取る能力は必須です。

 

エージェントに相談してみるとわかると思いますが、今よりも勤務時間が短くて、給料が高い職場がいくらでも見つかります。

 

大切なことは、自分には今の職場以外にどんな職場で働くことができるのかを把握することです。

 

これ、本当に気持ちが楽になります。

 

仕事に追われていると、どうしても今の職場での評価に固執してしまって、「自分はここで頑張らないといけない、自分はここで働くしかない」と凝り固まった考え方になってしまいます。

 

これはそう思ってしまうのが悪いのではなく、忙しい環境が正しい判断能力を奪っているからです。

 

「自分は今の職場を辞めても他に働けるところがある。嫌になったらいつでもこの職場は辞めることができる」

 

こう思えると、気持ちが本当に楽になります。

 

他の仕事先を探しておくことは、今の環境からの緊急脱出装置になります。

 

エージェントを利用する際の注意点や実際のエージェントの選び方は、【実体験】医師の転職エージェントの失敗しない選び方【用途別】で詳しく紹介しています。

 

さいごに:自分を大切にできるのは自分だけです。

 

誰が何と言おうと一番大切なのはあなたの体、健康です。

 

つらい時は我慢し続ける必要はありません。

 

自分を守れるのは自分だけです。

 

本サイトでは、妻が医局を辞める医師夫婦が、医局を辞めること・転職・アルバイトについての経験を共有しています。

 

この記事が一人でも多くのつらい今を過ごす先生方のお役に立てば幸いです。