悩める医師「専門医なしで医局をやめても大丈夫だろうか・・・?」
こんな悩める医師の皆様に向けた記事です。
専門医なしで医局を辞める3つのリスクと2つの対策を紹介します。
私は今、外科医として働いています。
同じく医師の妻がいて、産婦人科の医師をしています。
結婚し子供のことを考えると、夫婦どちらも医局に所属しながら育児などをしていくのは、私達の価値観と合っておらず難しいという話になりました。
そこで、どちらかが医局を辞める、という決断になりました。
医局を辞めるにあたって直面したのが、専門医問題です。
後期研修の途中で医局を辞めるということは、専門医を持たない状態で医局を辞めることになります。
「専門医なしで医局を辞めるのって大丈夫なのか・・・?」
そう思った私達は、たくさん調べ、先輩医師にたくさん話を聞き、情報を集めました。
結論、専門医なしで医局を辞めても問題ないと思います。
しかし、勢いで専門医を取らない、というのはおすすめしません。
「専門医なんていらないよ」という発言を最近はよく耳にします。
専門医を取れるのであれば、取った方が良いです。
専門医なしでを考えているのであれば、医局を辞めるリスクを理解して、しっかりと対策を取ることが大切です。
今回は私達がたくさん考えた中で、専門医なしで医局を辞めることの3つのリスクを紹介します。
そしてそのリスクを最小化するための2つの対策も合わせて紹介します。
この記事をご覧になっている皆様は、理由は様々だと思いますが、医局に在籍していることに疑問を持った方のはずです。
多かれ少なかれ今つらい思いをしていると思います。
まずは、どうか自分の体を第一に考えて下さい。
本当に精神的・肉体的に医局にいることがつらい場合は、医局を辞めるリスクなど考えずに逃げてしまいましょう。
逃げることは悪いことではありません。自分で、自分の人生の責任を取るというとても勇気あることです。
この記事が一人でも多くの今を悩む医師の方々のお力になれば本当に嬉しく思います。
専門医なしで医局を辞める3つのリスク
周りの目が気になる
専攻医なしで医局を辞めるリスク1つ目は、周りの目が気になることです。
例えば、「あいつ堕ちたらしいよ」、「あいつ逃げたらしいよ」、「あいつは医者として終わった」
このように同期や先輩、後輩から後ろ指をさされるリスクです。
実際、この周りからの目が気になって行動できないという人は多いと思います。
結論、全く気にする必要はありません。
なぜなら、このように後ろ指を指す人は、医局に不満を持っており、行動を起こしたあなたを羨ましいと思っているだけだからです。
自分の人生は自分で進みましょう。
やりがいある仕事ができないリスク
専門医なしで医局を辞める2つ目のリスクは、やりがいのある仕事・やりたい仕事ができないリスクです。
例えば、あなたが糖尿病内科を目指していたとします。
あなたがやりたいのは糖尿病の方を外来で診察したり、教育入院で患者さんとコミュニケーションを取ることだったと思います。
しかし、内科専門医なしで医局を辞めた場合、糖尿病内科としての仕事はできない可能性が高いです。
専門医なしの仕事は、一般内科クリニックや訪問診療、老健などの仕事です。
このように専門医なしで医局を辞めた場合、自分がやりたかったこと、自分がやりがいがあることができなくなる可能性があります。
医師過剰リスク
専門医なしで医局を辞める3つ目のリスクは、医師過剰リスクです。
近い将来、日本で医者過剰時代が来ると言われています。
厚生労働省の試算によると、2020年代後半には医者の需要と供給が拮抗すると言われています(厚生労働省 医師需給分科会)。
原因は日本の急激な人口減少、そして医師の総数の増加です。
2040年には医者が1万人から4万人程余ると言われています(日本経済新聞)。
医師の総数が30万人~40万人なので、10人に1人程の医師が余るということになります。
専門医なしで医局を辞めた場合、10年後、20年後、今と同じように仕事があるかは正直不透明です。
これは日本社会の変化なのでどうしようもない部分がほとんどです。
このように、専門医なしで医局を辞めた場合、将来日本で医師過剰になった時仕事があるかどうかわからないリスクがあります。
専門医なしで医局を辞めた人が取るべき2つの対策
以上、専門医なしで医局を辞める3つのリスクを紹介しました。
「専門医なしで医局を辞めるのは危険だからやめた方がいい」
そうではありません。
リスクをしっかりと理解した上で対策を取れば、将来のリスクを最小化することができます。
ここからは、専門医なしで医局を辞める人が取るべき2つの対策を紹介します。
適切な方法で職場探しをする
1つ目の対策は、適切な方法で職場探しをすることです。
医局を辞める場合は次の職場を探す必要があります。
医局を辞めてまずはしばらく休む、という方もゆくゆくは職場を探すことになると思います。
適切な方法で職場探しをしなければ、「新しい職場に行ったけど、仕事がつまらないし、勤務もきついし、前の方がよかった・・・」なんてことになってしまいます。
適切な方法で職場探しをすることで、自分のやりがいを得ることができますし、仕事への不満をできるだけ少なくすることができます。
まずは自分が働きたい環境をできるだけ具体的に書き出しましょう。
勤務地、勤務時間、勤務日、仕事内容、忙しさ、当直の有無・・・。
できるだけ鮮明にイメージすることが大切です。
例えば勤務時間も「週三回くらいかなー」ではなく、「月・水・金 13:00-17:00」のように数字までしっかりイメージしましょう。
業務内容も「自分は内視鏡ができるようになりたいから、内視鏡をやっているところがいい」など、身に着けたいスキルがあれば具体的にイメージしましょう。
そして、専門医の取得を目指すのかどうかも考えましょう。
前提として、医局を辞めたからといって専門医を取れない、というわけではありません。
まず、医局を辞めても、医局に所属している時に積んだ症例を引き次いで他の施設に移ることもできます。
他の科の専門医プログラムにうつることもできます。
医局だけが全てではありません。やりようはいくらでもあります。
自分の仕事環境をイメージすれば、後は希望にあった職場を探すだけです。
方法は大きくわけて2つあります。
友人・知人からの紹介と転職エージェントを利用する方法です。
信頼できる友人・知人がいる場合はまず頼ってみましょう。
友人・知人からの紹介は、中間業者を介さない分、給与が高くなることが多いです。
よほど信頼できる人でない限りはエージェントを利用することをおすすめします。
なぜなら、エージェントの方が自分の希望する条件に適う職場に出会える可能性が圧倒的に高いからです。
そして、医局に所属しないということは遅かれ早かれ、エージェントとうまく付き合っていく必要があります。
誤解が多いところですが、エージェントに相談したからといって必ず転職しないといけないということは全くありません。
ただただ一度話を聞いてみる、自分に合った職場があるか試して見る、このくらいの距離感で利用するのも大いにありです。
転職エージェントをうまく利用する能力は、医局に所属していない人にとって必須スキルです。
医療以外のスキルを身に着ける
2つ目の対策は、医療以外のスキルを身に着けることです。
日本で医者が余ると言われているなら、これから需要が伸びる分野のスキルを身に着けてリスクヘッジをしよう、という考え方です。
これは、外科だけど内科の知識を勉強する、といった医者としての新しい知識を身に着けることではありません。
医学とは離れて、新しいスキルを学び始めるということです。
医療以外の新しいスキルを身に着けることができれば、そのスキルで今副業として稼ぐこともできますし、医者過剰時代が来た時の逃げ道になります。
実際、医者が余ると言われていますが、多くの医者が職を失うというのは個人的にないと思います。
しかし、医者の給料が下がる、というのはかなり現実的だと思います。
医者の給料が下がった分は他のスキルで補填する、という発想です。
プログラミング、動画編集など、今は簡単にスキルを勉強できます。
正直、20年後には医者一本で生きてきた人よりも、このように新しいスキルを身に着けていった人の方がこれからの社会ではリスクが低く、給料的に高くなると個人的には思っています。
さいごに:自分の人生は自分で決める
以上、専門医なしで医局を辞める3つのリスクと2つの対策を紹介しました。
一番大切なことは、自分の人生は自分で責任をもって決断を下すことです。
現在後期研修医の方向けに、後期研修医を辞める時に考えておくべき3つのこと【現役後期研修医】で後期研修医を辞める前に考えておくべきことについて深堀しています。
リスクを理解してしっかりと対策を取りましょう。
この記事が一人でも多くの悩める医師の皆様のお力になれば幸いです。