忙しい後期研修医「後期研修医が忙しすぎる。もうやめたい・・・。後期研修をドロップアウトしようかな・・・。」
こんなつらい日々を過ごす後期研修医に向けた記事です。
後期研修医をドロップアウトする前にするべき4つのことを紹介します。
私は今、外科の後期研修医をしています。
私には同じく医師の妻がいます。私が一般外科、妻が産婦人科の医者夫婦です。
妻は結婚・出産を機に医局を辞めました。
妻が医局を辞めた表向きの理由は、「結婚・出産」ですが、背景には精神面・体力面・金銭面と生々しい理由があります。
後期研修医、それは現代の医者生活で最もつらく大変な時期に違いありません。
医師も働き方改革が進められている時代です。
実際、初期研修医の働き方はかなり改善されてきたように思います(Gem Med)。
しかし、そのしわ寄せを最も受けているのが、後期研修医です。
昔の初期研修医の苦労(研修医時代、ぼろ雑巾のように働かされた)と同じような思いを今の後期研修医はしています。
後期研修医は専門科に入ったばかりでわからないことだらけな上、異常な量の書類仕事、初期研修医の指導、そして学会や論文仕事に追われます。
加えて、後期研修医の本分は勉強です。膨大な仕事の中でも必死に勉強して専門の知識を付けていかなければいけません。
普通に考えて、無理な話です。
加えて、多くの後期研修医は薄給です。
一方で、後期研修医をせずに美容などの進路に進んだ人からは「3年目で年収2000万円」なんてザラに聞きます。
「なんでこんなに大変なんだろう。。。後期研修医をやめたい、ドロップアウトしようかな。」
そう思うのも無理はありません。
実際に私も何度も思いましたし、後期研修医を続ける今でも思うことが多々あります。
私の知り合いや友達でも実際に後期研修医をドロップアウトした人が何人もいます。
ドロップアウト、というと悪い印象を持つかもしれません。
しかしこれは、自分の人生と向き合って大きな決断を下すことであり、極めてポジティブなことです。
むしろ、つらい、やめたいと思いながら続けて体調を壊してしまっては元も子もありません。
今回は、実際に私が後期研修医をやめたいと思った時にしたこと、そして後期研修医をやめた知り合いに聞いた話から、後期研修医をドロップアウトする前にするべき4つのことを紹介します。
私の友人でも後期研修のストレスである日仕事にいけなくなり、心療内科に通院している友人がいます。
「自分が連絡してあげたりできていれば」
そんな後悔が非常に強いです。
そんな後悔の念から、一人でも多くの悩める後期研修医の力になれればと思いこの記事を書いています。
この記事が、今つらい日々を過ごす先生方に少しでも力になれれば本当に嬉しく思います。
後期研修医をドロップアウトする前にするべき4つのこと
後期研修医をドロップアウトしたいと思う理由を明確にする
まずは後期研修医をドロップアウトしたいと思う理由を明確にしましょう。
なぜなら、理由がわからなければ対策ができないからです。
なぜ、今つらいと思うのでしょうか。
「忙しくて眠れないのがつらい」、「上級医が高圧的でストレス」、「給料が低すぎる」、「日々失敗ばかりで今の科が向いていない」、「子供ができて仕事と家庭の両立がきつい」
理由は様々だと思います。
理由をはっきりさせることで、おのずと取るべき対策が見えてきます。
・忙しすぎる→もう少し余裕のある職場へ移動する、科を変える。
・上級医がストレス→同じ科で職場を移動する。
・給料が低すぎる→同じ科で給料が高い職場、別職種で給料が高い職場へ移動する。
・今の科が向いていない→科を変える。
・家庭と仕事の両立が難しい→時間に余裕のある職場、科へ移動する。
例えば私の先輩は、外科専攻医をやっていましたが、「仕事量と給料が割に合わない」と言って美容外科クリニックに転職しました。
先輩の内科医は「職場の雰囲気、上司がきつい」といって内科の別のクリニックへ移動しました。
産婦人科専攻医だった先生は「科があっていない」ということで同じ職場で内科に転科していました。
麻酔科専攻医だった女性の先輩は、結婚・出産を機に育児をメインにしながらクリニックで働くことにしていました。
このように、理由をはっきりさせると今後取るべき対策が見えてきます。
専門医が必要かしっかり考える
次に、専門医が必要かどうかしっかりと考えましょう。
なぜなら、専門医が必要か不必要かによって取る対策が変わってくるからです。
「専門医を取らないなんてありえない」という固定観念で苦しんでいる人が多くいると思っています。
「専門医をとらないなんてありえない」
本当にそうでしょうか。
実際は周りの人がみんな専門医を取るから、自分も周りに合わせて専門医プログラムに入った、という人がほとんどではないでしょうか。
自分に本当に専門医が必要か、しっかりと考えましょう。
専門医を取るメリットを考えてみます。
専門医を取るメリット
・将来開業する時に標榜できる。
・部長や教授になるためには絶対必要。
・専門医必須の求人に応募できる。
メリットが自分にあまり関係ない、という人は専門医を取らないという選択肢もあるのではないでしょうか。
専門医を取るには、プログラムにのっとり、地方の病院に行ったり論文発表をする必要があります。
そして専門医を維持するには、定期的に症例を経験し、書類を提出し、学会に参加しなくてはいけません。
専門医の更新にお金もかかります。
これらのメリットと労力を自分の状況と合わせてしっかりと確認しましょう。
専門医を持っていない、専門医を取得したけど、更新をやめたという先生もたくさんいます(専門医を取らない・維持しない医師の本音は?)。
実際に、「メリットがない」、「手続きが煩雑」といった理由が多数見られます。
よくよく考えてみると、実は専門医が必要な人はそれほど多くないのではないか、と思ってしまいます。
他人に合わせてなんとなくではなく自分の頭で考えることが大切です。
健診、美容、AGA、老健など、今は専門医不要の医師の仕事は非常に多いです。
教授になりたい、開業したい、親の開業した医院を継がなくてはいけないという人は専門医が必須だと思います。
しかし、そうでない方は、つらくて仕方ない中で無理して取るほどの価値はないのではないかと思っています。
専門医なしで医局を辞める3つのリスク【2つの対策も紹介】の記事で専門医についてより掘り下げています。
友人や知人に相談する
後期研修医をドロップアウトしたい、そう思ったら信頼できる友人や知人に相談してみましょう。
家族が医療関係者という場合は家族に相談するのも良いでしょう。
友人や知人に相談することで自分を客観視することができます。
「その状況は絶対におかしい」
という場合もあれば、
「こういう風に工夫したら解決するんじゃないか」
という意見をもらうこともできます。
4つ目に詳しく紹介しますが、知人が医療関係者であれば、おすすめの職場を教えてもらったり、中には知り合いの医師を紹介してもらったりできるかもしれません。
また結婚、出産を機に子育てとの両立が難しいという女性医師の方も多いと思います。
家族に相談することで家族からの援助を受けることができるかもしれません。
このご時世、共働きで育児をするのはかなり大変です。親からの助けが得られる環境であれば、積極的に頼ってみましょう。
仕事がつらいというのは恥ずかしいことではありません。
一人で考え込むとより気持ちが暗くなってしまうものです。
信頼できる身近な人に打ち明けてみましょう。
次の就職先を探す
後期研修医をドロップアウトする前にやるべき4つ目のことは、次の就職先を探すことです。
大きく分けて2つの方法があります。
①知人に紹介してもらう ②エージェントを利用する これらの2つの方法です。
知人とは信頼できる友人、先輩、上司のことです。
注意点として、同じ部署の上司などに相談するのは辞めましょう。
同じ部署の上司に次の就職先の相談をするのは角が立ちますし、最悪、さらに自分への当たりが強くなる可能性があります。
大切なのは、今自分と同じ環境にいる人ではなくて、別の環境にいる信頼できる人に相談することです。
例えば、大学時代の部活の先輩、初期研修時代の指導医、親族の医師、などです。
おすすめの職場などを紹介してもらうことができるかもしれません。
個人的にもおすすめなのは、②のエージェントを利用する方法です。
誤解が多いところですが、エージェントに相談したからといって必ずその常勤先に転職する必要はありません。
今後を見据えての相談、今の自分に他にどんな職場があるかの確認、といった理由で利用するのは大いにありです。
実際にエージェントに相談してみるとわかると思いますが、医者の働き口は山の様にあります。
専門医があろうが、なかろうがです。
今の職場より時間に余裕があって給料が高い職場がすぐにたくさん見つかるでしょう。
「自分は今の職場以外にも働けるところがたくさんある」
そう思うと本当に気持ちが楽になります。
今、私が後期研修医を続けることができているのは、エージェントに他の職場を紹介してもらい、「嫌になったらいつでも辞めてやる!」、そう思いながら働くことで随分日々のストレスがなくなったからです。
仕事に追われていると、どうしても今の職場での評価に固執してしまって、「自分はここで頑張らないといけない、自分はここで働くしかない」と凝り固まった考え方になってしまいます。
これはそう思ってしまうのが悪いのではなく、忙しい環境が正しい判断能力を奪っているからです。
他の職場を探しておくことは、今の環境からの緊急脱出装置になります。
今の時代、エージェントを利用すれば医局からの紹介がなくとも良い職場はいくらでも見つけることができます。
さいごに
以上、後期研修医をドロップアウトする前にするべき4つのことを紹介しました。
後期研修医を辞める時に考えておくべき3つのこと【現役後期研修医】の記事で後期研修医を辞めるリスクや注意点について深堀しています。
本サイトでは、妻が医局を辞めた医者夫婦が、医局の辞め方、転職・アルバイトについての経験を発信しています。
この記事が一人でも多くの今を悩む皆様のお役に立てば幸いです。